フィールドオブドリームスはなぜこんな面白いのか

『あのさ、俺さ、自分の家ぶっこわして土俵作ろうと思うんだよね。なんでって？いや、そうしろって声がすんのよ。それにさ、なんか昔力士だった死んだ親父が戻ってきそうな気がすんだよなあー。根拠？ないわ。そんな気がするだけなんよ。あとすげー声がする。「アレを作れば…ヤツが来る…」ってね。あ。また聞こえた！うそじゃねって！マジなんだって！』

身近な人がこんなこと言い出したらどうします？やべーなこいつ、キメキメじゃねーか！もう付き合うの止めよ、って思うのが普通じゃないですかね。よっぽど親しくて見捨てられないとしても、メンタル的なホスピタルに連れていきますよね。なんなら強制入院させますよね。でも連れて行かないどころか、マジでやっちゃう映画があるんですよね。そう。トウモロコシ畑ぶっつぶして野球場を作る映画、フィールドオブドリームスです。

この映画、俺たぶん小学生くらいのころに初めて見てからというもの、なんだかんだいって10回以上見てるんですよね。たぶん金曜ロードショーのラピュタ以上に見てる。そんで毎回泣いてる。毎回、ラストシーンでの親父とのキャッチボールで涙腺ぶっ壊れるくらい泣いてる。あ、ちなみに俺の親父は野球選手でもなければ死んでもいないし、めちゃくちゃ元気で毎週ロイヤルホストでステーキ食ってます。あとキャッチボールしたことない。俺、野球嫌いだから。嫌いっていうか興味ない。全然ない。でも泣けるんだよなあ！フィールドオブドリームス！！

改めてこの間アマゾンプライムで見たんですけど、なんど見ても意味わからないんですよね。この映画を作った意味も、なぜ泣けるのかもさっぱりわからない。大体トウモロコシ畑で変な声がする、ってそんな大盛りメガマックスな話の軸となる謎、最後にその答えがあると思うじゃないですか。最後に伏線回収してよかったな、って普通。

だがまさかの謎のまま！！！

しかもですよ。トウモロコシ畑にいたら変な声がして、それに従って野球場をつくった、っていうめちゃくちゃこれでもかっていうインパクトのある部分、これ最初の15分でもう野球場作ってますからね。作るのに葛藤がないわけじゃないですが、意外にあっさりできるんですよこれが。映画見ながら時計みてびびりましたからね。15分て！！！30分アニメでもまだBパートあるぜ！！ちょっと急すぎやしないかい！？まだあれよ？ガンダムでもエヴァンゲリオンでもロボット乗ってないぜよ！？

それにこれ、本当に『変な声に従って畑に野球場作ったら死んだ野球選手たちと親父が出てきた』っていうだけの話なんですよ。これスポンサーどうやって説得したのかマジで謎じゃないですか。この意味不明のストーリーを他人に理解させて何億ドルって製作費だすの不可能だと思うんですよね。可能性として相手がクスリバリバリ決めてた富豪か、金がめちゃんこ余ってて捨てたくて困ってた富豪か、トウモロコシ畑で変な声聞いて野球場作ったら死んだ親父が出てきてキャッチボールした経験がある富豪しかいないんですよ。あれか。3つめか。まさかのドキュメンタリーなのか。

（（アレを作れば…ヤツが来る…））

しかしこのよくわからない声、よくアレが野球場で、ヤツが死んだ親父ってわかりましたよね。アレがプロレスのリングで、ヤツが馬場正平かもしれないって可能性は考えなかったんですかね。あっそうか。馬場ならトウモロコシじゃ背丈隠せないから無理か。じゃあ三沢光晴。トウモロコシ畑から出てきたと思ったらそのままランニングエルボー。そしたら後ろからジャンボ鶴田や山本小鉄、その後ろには力道山！？えっあれはマス大山…！！これは面白くなってきたぜ…！！

これぞ『史上最強を決める場所（フィールドオブドリームス）』…ッ！！！

こいつはトウモロコシ畑どころじゃねえッ！！

東京ドームぶち壊して地下に作るンだッ！！！！

今すぐッ！！！すぐにだッ！！！