そのラリアットはマジでヤバい

おっさんIT系サラリーマンの自意識が高ぶったときに、ふとぶちかます雑記です。

思い出すと死にたくなる、20年前のある出来事

 


こんにちわ。みなさんピンチ、つまり危機的な状況に追い詰められたことってありますよね。どんな人間でも長く生きてれば大なり小なりあるものだとは思いますが、思い返すだけでも脇汗がじんわり出て金タマがキュッとするような極限状態は忘れられないですよね。今まさに俺も思い出したら金タマがBB弾くらいになったので、そのフィーリングを皆様にもおすそ分けしたいと思います。お前の金タマも仁丹くらいになるがいい。噛みくだかれて誰かの口臭を治すといい。

 

あれは20年ほど前。俺が大学に入学したて、まだ自分のことを同サイズの石より無意味なブツだと気づかず、全能の神だと錯覚していた時代。当時の俺は何を勘違いしたのか論理的な男がモテるに違いない!とディベートのサークルに入ってしまったのです。ディベートとは、提示されたテーマに対して肯定派と否定派に分かれ、制限時間の中で論理性を駆使して交互に主張、反駁しあい、第三者が勝敗を決めるという頭脳派競技。俺の決め台詞である『お前の母君マジでべそ』『俺の父ちゃん超偉いんだからな』『このうんこマジぶっ殺す』という台詞が一切通じない、いわば根暗メガネ共によるあげあしの取り合…Eスポーツでした。ごめんEスポーツではない。ロジカルな紳士達が知性を競い合うロジカルゲームでした。

 

そんなサークルに入ってしばらくした頃、「おいしいお菓子あげるから」と言われ複数の大学が参加する合同練習試合に参加したのです。俺の想像では道場の柱の影から『やれやれ…これが練習?オママゴトかと思ったぜ…!』とさりげなく告げ、他大の主将が『貴様…その言葉、もう取り消せんぞ!』と怒り、『へへっ、そうこなくっちゃあ』と言って始まるものだと思っていたのですが、そういうやり取りは一切ありませんでした。その代わり、『複数の大学から来たディベート選手が』『英語で』『ベテランと若手がランダムに』『2人1チームを組み』『トーナメント形式で』論戦を行なうというもので、俺が予想していた『複数の不良校から来た角刈り筋肉が』『拳と拳で』『片足を鎖でがっちりと繋ぎ』『熱い魂をぶつけて語り合う』ものと余りに違うのでマジでビビりました。これがディベートというやつなのか…!?

 

他大学の人たちとは聞いていましたが、2人1チームでまさか英語だなんて聞いていませんでしたし、英語といえば『I'm Sorry(ごめんなさい)』と『I Like an Apple (貴様ぶっ殺してやる)』しか知らないので、この2語で戦いぬかないといけません。これは困った。しかしこれを奇跡とでも呼ぶのでしょう。チームを組んだ知らん他大学の先輩がめちゃくちゃイケメンかつ超ディベートが強い人だったのです。俺が『What Vegitable do you llike ? (どんな殺され方してえんだ?)』しか話していないのに気づけばなんと決勝戦まで行き着いていました。

 

各試合はいずれも会場内のそれぞれのテーブルでこじんまりとわいわいやっており、英語やディベートがへたくそでもそんなに気にならず、正直馴れ合いムードでごまかせましたし、なんせその先輩が全て話してくれるので正直俺ほんとなんもせずよかったのです。ですが決勝だけはその会場で全員が注目する舞台の檀上だったのです!おいおい!俺マジでなんも英語話せないんだって!ちょっとNOVA!NOVA通わせてくれよ!半年くらいたったらまたくるからよ!そして決勝戦のテーマは

 

『避妊は是か非か』

 

しかも否定派。

 

いや、その、これ試合だからしょうがないってわかってんですけど。そんとき俺、童貞だぜ?いいんですかね…童貞ですけど避妊について論じていいんですかね…説得力のある無し以前になんか申し訳なくてしょうがないんですけど。童貞が大勢の聴衆にたいして話せもしない英語でしかも避妊はダメだ!って論じるって、野球解説者席で野生のヒグマがサケ食ってるより意味わかんなくない?一緒にチーム組んでる他大の先輩はいいよ。論じる資格あるよ。イケメンで英語はなせて確実に頭いいし。そりゃ避妊はよくない!とか言っても世間はそれなりに聞いてくれるよ。でもお前さ、ヘドロみたいな俺ことゲロづら童貞が『避妊はよくないでゲロ~』とか言ってもさ、捕まるだけじゃん?それも大勢の聴衆の前でそれ無理やり英語で言わされるってさ、もはや冤罪を誘発してるっていうか悪質なセクハラなんじゃないの?俺の人権どうなってんの!?

 

ていうことを思いながらさ、自分の番が来るわけですよ。相手の主張なんて聞いてる余裕ないし、単語で『ア…アイ シンク…イッツ…』とかつっかえつっかえ考えながらさ、一文言うのに2,3分かかってもはやディベートの体すら成してない。赤っ恥も赤っ恥ですよ。ずっと檀上でしらん学生たちを前に本当に思っていました。『誰か俺を!誰か俺を殺してくれ!野生のヒグマでもなんでもいいから今すぐに殺してくれ!!』と思っていましたね。その後の記憶は本当にありません。辛すぎると人間、自分の記憶を消すってのはマジですね。でも俺は忘れても、皆さんは覚えていてください。

 

 

20年ほど前、避妊は良くない!と英語で言わされた一人のゲロ童貞がいたことを。

 

 

 

こんな悲劇は二度と!繰り返してはいけないんだってことを…!!

 

 

 

 

 

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