そのラリアットはマジでヤバい

おっさんIT系サラリーマンの自意識が高ぶったときに、ふとぶちかます雑記です。

ハセツネ2023を走ったぜ

昨年、あれだけ豪雨の中ぐっちょぐちょになり2度とでねぇと思っていた日本山岳耐久レースことハセツネですが、今年はエントリー合戦開始5分でパソコンがフリーズして申し込めず、それが予想以上に悔しくキャンセル待ちしてたらなんと受かってしまったので参戦することになりました。いやマジな話、昨年の泥ぐちゃ豪雨ではなく脱水に苦しむ灼熱のハセツネってのを体感してみたかったというのもあります。

 

そんで蓋を開けたら今年もめっちゃ雨という。

 

しかし昨年の土砂降りではなかったので足首までつかるほどの泥ぐちゃではなく、普通に登れる感じでした。むしろ降り始めはレインウェアを着込むと汗が出るので、着ずに走ってる方が汗もかかずむしろ快適。明らかに昨年より体調が良く、雨最高じゃね?と思っていたら、延々と雨が降り止みません。そして、夜になると当たり前ですが気温が下がる。そして山岳レースなので標高も上がる。そう。寒い。マジ寒い。後で聞いたんだけどそこの気温5度くらいだったらしい。ですが動き続けているのでそれに全然気が付かず、序盤のボス、三頭山の頂上付近で気がつきました。

 

視界の端がなんかみどり

 

そう、壊れたテレビの液晶みたいに、画面の端がなんか緑っぽくなってきました。そんでだんだん視界が狭くなっている。そして気づくと体が重い。こ、これはひょっとして低体温症ってやつでは!?しかしそこで慌てないのが俺。まずかろうじで残っている体の熱をキープするためにTシャツの下に汗を発散させるミレーの網シャツを着る。(ちなみに一度上半身裸になる必要があります。もう夜なので誰もみていないので気にしませんが、夜の山中で数秒とはいえ素っ裸になるのはなんか変な高揚感があります)そしてレインウェアを羽織る(他の選手はみんなもう着てる)、これで体が冷えなくなって相当楽になりました。

 

後は動き続けるしかない。そう、いくら体が凍えていようが、少しでも体が動くなら動かし続ければ最低限の熱はキープできます。逆にいうと夜の山中で少しでも休むと体が冷えて動かなくなって来るので、一歩でも半歩でも動かし続ける!だがそれでも体が動かない!なぜだ!そう、腹が減っているからだ!でも食えない!なぜか。それはずっと同じような甘いジェルを食べているから、もうなんか甘いもの食えなくなっているのです。今までも70キロくらいのレースに出た際には俺は胃腸がかなり丈夫な方なのか、食べられないということがほぼなく、お腹を壊したり吐いたりすることもなかったので舐めていました。今日はなんか体が辛いからなのか、めっちゃジェル食えない・・・

 

この時、リタイアしようかとマジで何度も思いました。だって視界の端緑だし。ちょうど月夜見の駐車場という唯一の補給地点が近く、精神的にはかなりきていました。でもリタイアというか、本当に体調が悪かったので吐いてでもいいから食わないとリタイアできる地点までも体力が持たない!と思いジェルとカロリーメイトをボソボソ口に突っ込み、一歩ずつ歩いていきました。辺りを見ると夜の山中、雨ザーザーにもかかわらず脇道で倒れていたり、うずくまって動けない人が結構おります。眠気か空腹か低体温症か…自分も気を抜くとあっという間に同じ状態になってしまいます。ほんと一歩ずつでもいいから歩かねば!と無理くりに歩いていると、次第に体に熱がまた入ってきました。ここからはメンタル勝負。ひたすら夜の山を何も考えず進むのみです。

 

そして気づくともう三番目のボス、大岳山をクリアしていました。あれ早くね?昨年はここで夜明けだったのにまだ真っ暗よ?と気づくと昨年の泥ぐちゃ状態の時よりも2時間ほど早いということに気づき、昨年よりも全然足残ってるわ!とやる気がだいぶ出てきました。この後金毘羅尾根までほぼ走れ、昨年より2時間半早い18時間ほどでゴールできました。いやー、きつかった。ほんとマジで寒さがきつかった。終わったら即サウナ行ったもん。ハセツネは水がポイント!とかいうけどありゃ嘘だわ。水なんて余裕で余るから、何より雨と寒さよ。そんで今回気づいたことをいくつかメモ書き。

 

 

▪️食べ物

まず上にも書きましたが、初めてジェルを口にできない状態を本格的に味わったので、今後はジェルだけってのも危険だなーと思いました。最近持ってく人が多い「ANDO」だけが唯一最後まで食べられたので、こりゃ売れてるわけですわ。後はカロリーメイト。これはやめた方がいい。なぜならボソボソだから。ほんま食いづらい。気づかなかった。後エネもちもかなり元気が出るんですけど、やっぱ疲れてくると甘い=食べられないってなってくるので他にいいもんないかなー。結局はおにぎりとかになるのかもしれません。途中すげえおにぎり食いたかった。

 

▪️練習

普段は月間200〜250キロあたりを走っているのですが、9月だけは脚力をつけたかったのでスピードにこだわらず300キロ走る、それも山道想定で坂メインで走ってました。1日平均150メートルくらいは上ってたと思います。日曜とかに1時間延々坂を上り下りして標高500メートル稼いだりしていました。これが結果昨年に比べてのぼりが多少粘れた理由の1つだと思います。あと20キロのおもりつけてランジスクワットもかなりよかったですね。

 

▪️装備

これはほとんど昨年と変わらずでしたが、唯一そして1番よかったのがストック!こいつのおかげでタイムが去年より2時間短くなったと言っても過言ではありません。上りも体を引き上げるのに足の余力を保てるし、下りはずっこけそうになる不安な段差をバランスとって降りられる。また平地ではストックで勢いをつけることでジョグにスピードつけられると万能。ただ両手が塞がるので油断すると補給を忘れるので、すぐ腹が減って視界が緑になります。

 

 

◾️最後に

他のトレランレースよりも、ハセツネは補給がないこと、ほぼ全部夜たいうことで格段にキツく感じますが、結果これに出てると他のレースがすっごい楽に感じる(飯が出るなんてマジかよ!?みたいな)ので、そういう意味でもおすすめです。なんせ制限時間はたっぷり24時間あるから、ただただ耐えれば絶対に完走はできます。マジでレースだけじゃなく、人生においてすごい自信になるし、「あれが耐えられたんだからこんなの楽勝」的な思考になります。

 

何よりこのキツさを潜り抜けた達成感が堪らない!!!まだ体のだるさが取れませんがもう来年出たい!!