そのラリアットはマジでヤバい

おっさんIT系サラリーマンの自意識が高ぶったときに、ふとぶちかます雑記です。

二人とも、わたしのために争わないで

どうも。皆さん在宅業務がまだ続いている方も多いと思いますが、一人でずっと作業していると、誰かに求められることのありがたさ、逆に誰にも求められない寂しさ、どっちか味わったことがあるんじゃないでしょうか。俺は自慢じゃありませんがいつも誰かに必要とされまくっております。嘘だろって?いやいや。ガチだから。その証拠に俺言ったことあるから。ドラマの中で夕焼けをバックに一人の女をかけて争う男二人に対し女が言うセリフ、『二人とも、わたしのために争わないでッ!!』って言わざるを得ないシチュエーションにおかれたことあるから。マジのリアルに本当だから。

 

あれは大学3年のころだから、もう20年ほど前の話ではありますが。当時俺は繁華街のコンビニで夜勤のバイトをしていたのです。夜勤だからヒマだろうと思っていたらそこは大きな繁華街のくせに当時まだあまり周囲にコンビニがなかったからか、夏でもおでんの売上が日本で3番になるというくっそ忙しい店で、夜3時になってもキャバ嬢やホストやスナックのママがひっきりなしにやってくる魔のコンビニでした。なんせ年間の窃盗被害額が200万以上らしくて、バイト初日にレジより先に泥棒っぽいやつをマークさせられるほどでした。なんだったんだあれは。

 

まあこのコンビニは2年くらいにお世話になりましたがオーナーがしょっちゅう店の酒をその場で開けて飲みながら『この店に来る奴はどうしようもねえ貧乏人だ!!』と酔っぱらって叫ぶアナーキーな店でもあり、語りつくせないくらいいろんな伝説があるのですがそれはまた今度にするとして、あれは冬でしたかね。それも夜も更けて朝の5時くらいですか。さすがに繁華街と言えども客のラッシュがいったん落ち着いて、店に珍しく一人もいないような時間帯でした。

 

さすがにこのくらいの時間になると、夜勤になれたとはいえ日によってはめちゃくちゃ眠くて、その日も卒倒しそうなくらい眠かったと思います。ただバックヤードで眠る度胸もないしいつ人が来てもおかしくないから、おでんを煮込みながらぼーっとしておりました。するとお客が一人二人やってきて、そのうちどうみてもスナックのママっぽい人がレジにやってきました。そこで何をそのスナックママおばさんが買ったのかは覚えていませんが、そこで言われたことは一生忘れません。

 

『なんだいあんた!!ダルそうにしてんじゃないよッ!!!』

 

(パシャッ)

 

なんとそのババア、眠そうにしていたコンビニバイトの俺にブチ切れると同時に、目の前にあったおでんの汁を俺にぶっかけたのです!!信じられます?俺おでんじゃないのにですよ?俺はただのコンビニバイトであって大根でも卵でも牛筋でもないのに、おでんの汁俺にぶっかけたんですよ?今でも覚えてるわ。98度。おでんの温度が表示されてる赤いランプの98度ってデジタルな表示今でもくっきり覚えてるわ。

 

いや、ね。百歩ゆずってダルそうにしている学生夜勤コンビニバイトしかも童貞に怒るのはいい。しかたない。だってダルそうにしてたし。っていうかダルかったし。正直仕事舐めてたしスナックのババアもべろんべろんに舐め切っていたのは否めません。物理的には舐めてないけど精神的には舐めまくっていましたから、そんな俺を怒るのは仕方ないです。でもさ…おでんの汁かけちゃダメじゃない…?かけるとしても43度とか、お風呂で入れる温度までじゃない…?めっちゃ熱かったよ本当。一気に目が覚めた。

 

でも目が覚めても、俺はあまりの事態の急展開さとババアの気迫にビビって、一言も発せずに戸惑っていたんですよ。時間にしても多分5秒とかそんなんだったと思うんですけど、永遠のような空白の時間が流れたと思ったら、そのババアの後ろに並んでいたホスト風のあんちゃんが負けじとデカい声で叫んだのです。

 

『おい!!こいつ真面目にやってんじゃねえかッッ!!!!』

 

こいつの接客どう思う?とクイズ70億人に聞きましたで聞かれたとしても6.999.999.995人が『ダルそうにレジ打っててムカつく』と答える俺の超低レベルクソ接客。それに対して、まさかの俺フォロー。神か。神ってホストの格好してるんか。ちなみに残りの5人は『おでんの汁かけられて美味しそう』だったんですけども。そんな出汁の効いた俺を助けようと熱く声をかけたホストさん、そのままスナックママ風ババアの肩をつかみ、めっちゃガンつけております。そうしたらババアのほうも気合が入ったのか

 

『外でやろうじゃない…!』

 

と、まだ支払いの終わってない買い物をレジにおいたまま、ホストの腕をつかんで外に引っ張り出そうとしているではないですか!!!こいつぁどういうことだい!?俺がちょっとダルそうに接客していただけで、ホストとばばぁが取っ組みあいだってかい?その原因である俺は、あまりの衝撃的な光景に意識が追いついていませんでしたが、もみ合いながら店を出ていく二人の背中を見ながらこう叫びました。

 

『二人とも、あたしのために争わないでッ!!!』

 

ってね。心の中でね。だって怖いじゃん。怒ったババァといきったホストの取っ組みあいだぜ。触ったらケガする具合で言ったらチェーンソーよりヤバいじゃん。ちなみに俺はおでんの汁をかけられて美味しくなったまま接客を続けましたし、その後の二人はどうなったかは知りません。そのままホテルにしけこんだんじゃないですかね。雨降って地固まるってね。いや知りませんけどね。

 

その二人の間から生まれたのが芦田愛菜です。

 

とかね。いや嘘ですけど。そうだったらいいなって。

 

おでんの汁かけられた甲斐があるなっておもうんですよね。

 

 

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